森見登美彦のススメ「四畳半神話体系」

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森見登美彦(もりみとみひこ)さんという作家さんをご存知でしょうか?
ご存じでない方、ご存知でも読んだことのない方は人生の半分を損しているので、
まずはこの記事を読んでみてください。
(ハードルを上げすぎましたが、よもやのときは下をくぐらせていただきます)



森見登美彦さんは、一言で言うと、“京都の阿呆学生のことばかりを書く”作家さんです。
一部、そうでない作品もありますが、基本のスタイルがここまでどの作品も一緒というのは
作家のなかでもいないのではないでしょうか。
(「阿呆」という単語は、僕は使いませんが、森見さんが使うので使います)
 
今回紹介するのは、「四畳半神話体系」という本です。
京都のある四畳半を根城にするやはり阿呆学生のお話で、
その阿呆さ加減が存分に書かれた一冊です。
 

四畳半神話大系 (角川文庫)
 
僕の森見さん観としては、正直「ストーリーで感動した」とかは皆無です。
では、なぜそんなにイイという言うのか。
 
それは、森見さん独特の文章です。「森見節」とでも言えるでしょうか。
日本語って、こんなに豊かに面白く、
またヘンテコに使えるんだなぁという感動があるのです。
それが、たまにでなくて一文一文に感じるからスゴイのです。
日本語が本当に豊かになります。ブロガーならお手本にしたいところです。
 
 
さて、「四畳半神話体系」を紹介すると言ったのに、
森見さん作品全般のことしか書いてませんね。
そこで、一部その「森見節」をこの作品から引用してご紹介したいと思います。
どこを引用しようか迷いに迷いましたが、カフェで読んでたら吹き出しそうになって
ひとり笑いをこらえるのに必死になったこの部分にします。

羽貫さんという美人の歯科衛生士さんが、
お酒を飲み過ぎたあとに主人公と御蔭橋という橋の上にいるシーンです。
 
<引用> 
「もしかして羽貫さん、気分が悪いのでは?」
 私がおそるおそる訊ねると、彼女はにやりと笑った。
「ばれた?」
 そう言ってから、彼女は急に御蔭橋の欄干に取りつくようにした。そうして、信じられないほどさりげない感じで美しくそろりと吐いた。先ほど食べたばかりの猫ラーメンがしめやかに高野川へと落ちてゆくのを、彼女は興味津々といった面持ちで見つめていた。
 そうやって気を許したすきに、彼女が手に持っていたぬいぐるみの熊が、哀れにも欄干からおむすびのようにころりんと転げ落ちた。「あ」と言って彼女が欄干から身を乗り出したので、非力な私が全力を尽くして引き留めた。あやうく二人とも猫ラーメンとぬいぐるみの後を追うところであった。ぬいぐるみは、欄干から高野川の水面に落ちるまで、可憐にくるくるとまわりながら、持ち前の可愛さを存分に発揮し、最後のひと花を咲かせた。
 

いかがでしたか?
“美人が飲み過ぎで吐いて、熊が川に落ちる”という話を、
ここまで豊かに面白く書けるものかと、笑いながらも感動しました。
「美しくそろりと吐く」とはどんなんだ!
「最後のひと花を咲かせた熊の可愛さ」見てみたい!
この部分だけでも、このシーンの虜になってしまいます。
 
森見節の力です。
そうして読者は中毒になります。
だから、また他の作品も買ってしまうんですね。僕のように。
 
ついまた読みたくなる。
なんて思わせたら、ブロガーとしては完全な勝者ですよね!
ブロガーでなくても、ビジネスマンとしても最強の武器になります。
ですので、記事の冒頭で「人生の半分を損する」と書きました。

たぶん大袈裟ですが、こういうのは大袈裟くらいがちょうどいいのです。

 
今回、作品の紹介というよりも、森見さんと森見節の紹介になってしまいました。
お詫びします。
しかし、この作品のストーリーをただ紹介しても、それは森見節を通して読まないと
何の価値もありません。
 
ということで、森見登美彦のススメ、でした。
他の作品からも秀逸な森見節を引用してシリーズものの記事にしようかな。
著作権的には引用ならセーフですよね。
とにもかくにも、ぜひ読んでみてほしい作家さんです。
 


 
 
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コメント

  1. M.I.F より:

    森見さん、出ましたねー。森見節、わかります、わかります。
    が、残念ながらワタクシ、そこがめっちゃ苦手で、かつ、「ストーリーで感動は皆無」という何の変哲もない物語が淡々と?続く感じがやっぱり苦手で・・・
    途中で挫折したっきりですね。

    言葉の多様性なんてのは見習うべき箇所なのかもしれませんが、頭に入れるとなると、
    論理的に組み立てられたシンプルさ・・・の方が得意です笑

    • かずかず より:

      なるほどー。確かに、読んだあとの「あれ?何も残ってないぞ」という感は僕も感じますね(笑)
      読んでいる最中の森見さんの文章に翻弄されている感がすべてですね。
      「ペンギンハイウェイ」は京都が舞台じゃないし、ストーリーもあるので、機会があったら(^^)

      うんうん、説明や論文では参考にしちゃまずいですね。
      僕は言葉というものが好きなので、他にないテクを使う森見さんは大好きなのです。
      それか、人間性が森見さんと同じく偏屈なのかもしれない(笑)

  2. 吉川響 より:

    初めまして、吉川と申します。タイムリーな事に・・・以前こちらへお邪魔して数日後、うちの妹が『ペンギンハイウェイ』を読んでいる最中と聞いたので、思わずコメントしてしまいました。妹いわく、ペンギンがたくさん出てきて、ペンギン好きにはたまらない一冊なのだそうです。

    『夜は短し歩けよ乙女』もこの方の作品ですよね。書店で表紙が目に入ること多くて気になってはいたのですが・・・この方の文章面白そうなので、今度読んでみようかな。

    • かずかず より:

      吉川さん、はじめまして。コメントありがとうございます!
      再来してくださったのですね。うれしいです。
      『ペンギンハイウェイ』は僕も読みました。
      いい意味で森見さんらしくない一冊で、最後には主人公の男の子がたまらなく愛おしくなるストーリーです。
      たくさんのペンギンを想像するのも確かに楽しいですね。

      『夜は短し歩けよ乙女』も森見さんです。
      でも、個人的にどストライクでオススメなのは『恋文の技術』という本です。
      森見節がこれでもかと出ていて、爆笑必至です。いい意味でのくだらなさが癖になります。
      よかったら探して読んでみてください。

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