あなたに“胸の中の剣”はあるか?映画「バケモノの子」レビュー

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昨日、現在公開中の映画「バケモノの子を観てきました。
細田監督の作品はどれも人間味というものが味わえて大好きです。
期待に胸を膨らませ、いつ行ってもワクワクする映画館へ入って行きました。

 

全体的な感想から言いますと、とてもいい映画でした!もう最高。

男と男の友情とか信頼とか、そういうの弱いんです。何度も涙をこらえておりました。

 

胸の中の剣

この映画の僕のなかでのテーマは「胸の中の剣」です。これは熊徹が、弟子である九太(本名は蓮)に最初に教えた内容でした。

これまで弟子をとったことのない熊徹は、剣術など戦い方を教えたことはありません。ましてや九太は9歳の人間の子。師弟の組み合わせの悪さはハンパではないですね。

熊徹は自分の剣術を教えるのに、長嶋茂雄を彷彿とさせる「グゥ~」とか「ス~」とか「バァ~ン」という教え方をします。これに対し、九太は「そんなんじゃわかんねぇ!」と言います。

そのときに、じれったくなった熊徹が言った言葉がこれ。

「胸ん中の剣があるだろうがよ!ここんとこによ!ここんとこによ!」

と自分の胸をどんどん叩いて怒鳴ります。

それに対し九太は「ねぇよ、そんなもん」と素っ気ない態度。そこに熊徹はこう言います。

「胸ん中の剣が大事なんだよ!!」

 

人間は心に闇を宿す生き物

バケモノの世界と人間の世界は分けられています。それは、人間は心に闇を宿す生き物で、バケモノの世界に大きな被害をもたらすという言い伝えがあるためです。

物語の終盤では、そんなバケモノの世界に迷い込んできた九太と一郎彦が心に闇を宿してしまい、バケモノの世界は騒然となります。

※九太は両親と生き別れ、一郎彦は捨て子でした。
 このことが心の中に闇を宿すきっかけになってしまったのです。
 また、九太が人間の世界で出会った楓という女の子も、
 自分に関心のない両親に認めてもらうため、
 必至に勉強し、優秀な成績を撮り続けるが、
 結局親に顧みられないという闇を持っているという設定でした。

人間の世界へ逃げ出した一郎彦を追った九太は、悩んだ末に自分の闇で一郎彦の闇を飲み込んでしまい、自分もろとも剣で貫いて消えてしまうという選択をします。

この映画で言う人間の持つ“心の闇”とは、自分や世の中に対する、恨みのようなネガティブな気持ちを指しているのだと思います。

 

心の闇を切り裂く“胸の中の剣”

物語のクライマックスで、宗師となった熊徹は、人間の世界で一郎彦と対峙する九太を救うため、付喪神(つくもがみ)に転生し、大太刀に姿を変えます。

大太刀となった熊徹は九太の胸の中に収まり、九太の心の闇(穴)を塞ぎます。

九太は、大太刀”熊徹”とともに一郎彦の心の闇も切り裂き、一郎彦と渋谷の街を守ります。

 

心の闇は“胸の中の剣”が克服させる。

胸の中の剣と心の闇をこのような関係に持ってきたのですね。子どもにもわかりやすいし、アラサー男にもぐっときます。熊徹が九太の胸の中で九太を叱咤する度に涙をこらえていました。

確固たる信念や覚悟、そして優しさといった心を持てば、恨みや妬みのような闇を克服できる。そんなメッセージを強く感じられた作品です。

 

九太は最初から熊徹の“胸の中の剣”に気づいていた!

序盤にも、僕が涙をこらえたシーンがありました。それは熊徹とそのライバル猪王山(いおうぜん)が非公式に対決するシーン。

猪王山の強さに圧倒され、不利な熊徹。しかし、その対決を取り囲んでいた聴衆からは、一方的な猪王山コール。

ここで九太は「あいつ、一人ぼっちなんだ」と熊徹の境遇を自分の姿と重ねます。

そして、猪王山に負けて消沈する熊徹に、九太がこう言うのです。

「あんた、強いんだな」

熊徹は、「お前は何を見てたんだ」と言いますが、九太は対決の結果ではなく、一人ぼっちでも相手と戦った熊徹の姿を見てこう言ったのです。

きっとこのときすでに、九太は熊徹の胸の中にある剣の存在を感じていたのです。

これをきっかけに九太は熊徹に弟子入りし、強くなるため修行します。

そのあと、冒頭に書いた「胸の中の剣があるだろ!」という熊徹のセリフが初めて登場し、九太は「ねぇよ、そんなもん」と答えるのですが、弟子入りした時点で、すでに九太は熊徹の“胸の中の剣”に魅せられていたのです。

 

まとめ

とっても熱いこの映画。暑い夏にぴったりの作品です。テレビでは高校野球の地方大会をやってます。この映画を観て、高校球児だったころの気持ちを思い出しました。

我が子を強く思いやりのある子に育てたいお父さんお母さん。僕のように男の熱さに感動しちゃう成人のみなさん。九太(蓮)と楓のやり取りでは、恋する乙女にもぐっとくると思います。

夏休みの序盤にぜひ観てほしい映画です。

 

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