Mr.Children「SINGLES」歌詞解釈。寂しさや悲しみは生きる上で必要な素材なんです。

歌詞学

「重力と呼吸」のアルバム曲から7曲目の歌詞学記事。今回は「SINGLES」です。

綾野剛さん主演のドラマ「ハゲタカ」の主題歌だったこの曲。しかし、1話を録画をし忘れたことから見るのをあきらめてしまい、2話を録画して主題歌だけ聞いていました。

つまり、ドラマのストーリーや世界観は持っていない状態で歌詞解釈を書いていきます。逆を言えば、ドラマにとらわれず、曲と歌詞だけの情報で書けるのかもしれません。

では、アルバム「重力と呼吸」随一のクールな曲の歌詞解釈、書いていきますよー。

 

歌詞全体の解釈

まずはこの曲の歌詞全体についての世界観について書きたいと思います。

【歌詞全文はコチラ参照】

イントロからクールな音が鳴り響くこの曲。その歌詞は、意外とネガティブ。と、僕は感じました。

過去の楽しかった思い出と、一人になってしまった今。でも、最終的に僕たちは所詮一人なんだという、どこか悟りにも似た生き方も書かれています。

所詮僕たちは一人、かぁ。結婚2年目で0歳の息子がいる今の僕にはつらい価値観ですが。人生を突き詰めるとそうなのかもしれません。妻にも息子にも自分のだけの人生があるんですもんね。もちろん、僕にも。

家族や恋人、親友といった間柄を説明する言葉はたくさんありますが、それぞれは一人の人間です。前提として、一人の人間として強く生きていかないといけない。そんなふうに僕は自分の価値観と折り合いをつけながらこの歌詞を読んでいます。

 

歌詞の深読み

では、ここからは、歌詞を抜粋しながら、この歌詞を独自解釈で深読みしたいと思います。

 

君は嬉しそうに しばらく空を見ていた
東京タワーの向こうに
虹が架かって
で、そのあと僕の頬にキスした

出だしの歌詞、100点満点でハッピーな感じです。

空の青、東京タワーの赤、虹の7色。ふと近くに目を移せば、君の顔がすぐそばにあって、で、キスされた。

鮮やかな描写。そしてやっぱり100点満点ハッピーです。

 

自分に聴かせるだけの口笛は
少しだけ寂しくて胸締め付けるメロディ

しかし、この部分で彼女とは離れてしまったことがわかります。

彼女と過ごしていたころは、たくさんの音楽を一緒に聞いたことでしょう。カラオケに行ってお互いのために歌ってみたり。でも、今音楽は自分一人で聞くものになってしまったのです。

しかし、「自分に聴かせるだけの口笛」なんて切ない表現なんでしょう。やはり詩って深いです。そして桜井さんの作詞は本当に素晴らしい。

 

悲しいのは今だけ 何度もそう言い聞かせ
いつもと同じ感じの 日常を過ごしている
それぞれが思う幸せ 僕が僕であるため
oh I have to go  oh I have to go

悲しさを自分で噛み殺している心境が伝わってくる歌詞ですね。

いつもと同じ生活を送るようにすることで、何もなかったように、あるいはすっかり吹っ切れているように暮らしたい…。精神の安定を保つためにこうして振舞っているのです。

そして、「それぞれが思う幸せ」。このために僕たちは離れることを選んだんだ。僕は僕、君は君であるため、それぞれに「行かなくちゃ」と言い聞かせています。

このあたりに来ると、もう出だしの鮮やかな色彩のイメージはすっかりなくなってしまっています。

 

どんな音楽も
痛快と話題の映画も
君の笑顔には適わないってわかった
ねぇ君はまだあの虹を覚えてる?

でも、結局は彼女のこと忘れられず、むしろガッツリ意識して過ごしてしまっていますね。

いろいろ試してはみたけれど、自分の心をあれだけ弾ませるのは、彼女の笑顔以外になかった模様です。いやー、でもこれは失恋の経験者ならみんな“あるある”ではないでしょうか。だって、どんな音楽も話題の映画も、隣には彼女がいたんですから。

「ねぇ君はまだあの虹を覚えてる?」ここであの虹の景色を思い出す感じ、切ないです。あのころと今とのギャップが色彩のイメージでくっきり浮き彫りにされています。

 

誰かのために生きるって誇りを
僕に教えてくれたのは
君だけと言い切っていい

彼女のことを思い返す日々でしたが、この部分で主人公は彼女との思い出をポジティブに捉えています。

今は寂しくて悲しいけれど、「誰かのために生きるって誇り」を教えてくれた人と出会い、過ごせた事実は、実はすごく恵まれたことだと僕は思います。それほどまでに想っていた女性。その人と一緒にいたのですから。

 

守るべきものの数だけ 人は弱くなるんなら
今の僕はあの日より きっと強くなったろう

2番のサビの最初のフレーズ。

ここ、ちょっと考えさせられました。僕は「守るべきものの数だけ人は強くなる」と考えていたからです。

でも確かに、守るべきものの数だけ、保守的になったり、それらの存在が弱点になったりすることは考えられますよね。そう考えると、弱くなるという側面もあると思います。

しかし、主人公の立場に立ってみると、これは自分が少しでもポジティブになれるように、そう言い聞かせているのだと思います。幸せと悲しさ、充足と孤独を経験し、強くなった部分もある。そう信じて生きるのはたぶん正解ですよね。

僕にもそんな時期がありましたが、ネガティブに生きていても本当にしょうがないですからね。あんな生き方はもう絶対したくないものです。

 

誰もが胸の中で
寂しさっていう名の歌を歌ってる
少し もの悲しくて
人恋しくなるメロディ

幸せの絶頂にある人も、その後に孤独を感じるような日々がくるとすれば、その分寂しさを味わうことになります。新婚で子どももいる僕も、きっと例外ではないでしょう。

でも、だからこそ今を大事にしたいし、大事な人にそんな寂しさを与えたりしてはいけない。そう思います。

そのためには、まず自分が寂しさとか悲しみを経験していなければならないのです。その程度はともかく、その痛みを感じたことのない人は、相手の痛みを想像することができません。

「誰もが胸の中で 寂しさっていう名の歌を歌ってる」という経験は、生きる上で必要な素材なんだと僕は思います。

 

楽しいのは今だけ
自分にそう言い聞かせ
少し冷めた感じで
生きる知恵もついたよ

最後のサビのフレーズです。ちょっと切ない感じになってしまいましたね。そこまで考えなくてもいいのにって思ってしまいます。

僕としては、こう考えるのならむしろ、今こそは全力で楽しめ!と思うのですが、それだけ今、主人公は寂しくて悲しいという気持ちであるということですよね。

さらに、楽しい日々と大きなダメージの両方を経験させた彼女という存在の大きさも訴える歌詞になっています。

 

まとめ

すごく長くなりました。そんな予定ではなかったのですが、書いていると僕自身いろいろ思い出したり考えたりしてしまうものです…。それだけ深みのある歌詞なんですよね。ミスチルの歌詞って。

寂しさ、悲しみ、孤独etc。それぞれはネガティブなものですが、人生笑いっぱなしだと多分楽しくないです。

ネガティブな経験もして、そして楽しい経験もして、互いに互いを引き立て合うし、互いに互いを呼び寄せ合うのだと思います。

 

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