「チーム・バチスタ」シリーズ本編の最終巻、
カレイドスコープの箱庭 を読みました。
凝ったミステリーのストーリーだけでなく、
そのなかから人間として大事なことを教えてくれるこのシリーズは大好きです。
今回読んだ「カレイドスコープの箱庭」では、
厚労省の官僚である白鳥のセリフに心を奪われました。
オシャレかつ納得のセリフで、またひとつ、ものの見方が加わりましたので、
そのセリフを紹介したいと思います。
ドラマもやっててご存知の方も多いと思われるこのシリーズ。
大学病院で患者の愚痴聞くのを仕事にする医師田口と、
厚労省で死因不明問題を専門とする医療行政の官僚白鳥。
この2人がいろんな問題(主に死因不明の医療過誤死)を暴いていくシリーズです。
ドラマでは白鳥は仲村トオルが演じていてイケメンですが、
原作では小太りの役人なのです。
さて、そんな白鳥の今回の作品でのセリフですが、
その前に、作品名にあるカレイドスコープとは万華鏡のこと。
僕はそんな英語初めて知りました。
これを知ってもらっていたうえで、セリフを原文のまま紹介しようと思います。
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“ 「この世の神羅万象は万華鏡の中の出来事さ。1816年スコットランドの物理学者、ブルースター卿が発明したカレイドスコープは、三年後に日本に伝来した。つまり日本は万華鏡の先進国だったわけ。だからと言って虚像に騙されちゃいけないよ。基本構造は鏡、ケース、中身のオブジェクトの三要素で、色彩溢れる幾何学文様は中に入れた小さなオブジェクトの反映にすぎない。だからオブジェクトを摑みさえすればすべて理解できる。その結論を得るために万華鏡の三要素のうちでも鏡に相当する“知”を磨き上げることが大切なのさ」 ”
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と、こんなセリフです。
とてもオシャレではないですか?「なぜ万華鏡?」と思うと思いますが、
この作品で2人が向き合っている事件に万華鏡のイメージがつきまとっているから。
という設定があるからなのです。
セリフの最初では白鳥の万華鏡マメ知識が鼻につきますが、
後半は人生における大事な“ものの見方”を言い得て妙に表現しています。
・虚像に騙されちゃいけない
・基本は3つの要素だけ
・複雑かつ美しい文様はオブジェクトの反映にすぎない
・オブジェクトを摑めばすべて理解できる
・鏡に相当する“知”を磨き上げることが大切
世の中にはいろんな物事があります。
美しいもの、醜いもの、悲惨なもの、心打たれるもの。
それらはいろんなフィルターを通ってから僕たちの目や耳に入りますが、
それは虚像であることもあるのです。いや、きっとその方が圧倒的に多い。
テレビで見るような世の中の時事に限らず、
会社や交友関係など、身の回りの物事もそうです。
「あの子は〇〇らしいわよ」
なんて噂話。それを鵜呑みにしてしまうだけではあまりに芸がありません。
そのうちあなたもその噂に絡み取られます。
虚像に踊らされるだけの芸なんて誰も見たくないですからね。
その物事のオブジェクト(事実)は何だろうか。
自分の頭でしっかりと物事見ること、考えること。
これが白鳥の言う“知”(鏡の部分)を磨き上げることです。
自らの鏡を常に曇りなく、そして歪みなく保ち、
当事者意識を持って物事を見る。考える。
そんな“自分”を持った人間でいたいなと思わされたセリフでした。
コメント
海堂さんのシリーズ前は結構読んでたんですが、最近は全然ですねー。
白鳥さんはたまにいい名言を残している気がしますねー。The役人ですが、やっぱり田口センセーと対照的にに恐ろしく理論的な人なことろが惹かれるのかもです。
アリアドネ、ケルベロス、カレイドスコープも読まないとなー。
白鳥はめちゃくちゃ見聞が広いスーパー人間ですよ。ゲームまでうまいという。
ロジカルモンスターですからね(笑)理論的なところが弱い僕には学ぶことが多いです。
どれも面白いですよ!時間あったらぜひ読んでください!