1月8日の公開初日に観て来た映画、『ブリッジ・オブ・スパイ』
その中にとても印象的なやり取りがあったので紹介します。
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それはソ連のスパイとしてアメリカに捕まったアベルと、
異例なことにその敵国スパイを弁護することになた主人公ドノヴァンのやり取り。
ドノヴァンからの質問へのアベルの返しが哲学的でカッコイイのです。
映画を観たあなたは覚えていますか?
そのやり取りとは、ドノヴァンの「不安はないのか?」
という素朴な質問に対するアベルの返し。
ドノヴァンの質問は、ソ連のスパイとして敵国アメリカに
捕らわれたアベルへの質問としては至極まっとうなもの。
この質問に対し、アベルは短く、逆質問でこう返します。
「役に立つか?」
この返し、とてもカッコよくないですか?
「不安などという、生きる上で役に立たないものはおれは持たない」
という、アベルの人生観や哲学、そして人間としての強さが滲み出ているセリフです。
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【ドノヴァン(右)に「役に立つか?」飄々と返すアベル(左)】
・・・でも、「不安はない」とストレートに返さないことに注目すると、
正直なところは不安があるのかもしれません。
冷戦時代に敵国に捕まったのです。不安があって普通です。
しかしアベルは、その本音を自らの言葉でねじ伏せて、この状況に立っているのです。
“どんなときも自分を理想の自分に保つ”という強さを感じる台詞です。
これとまったく同じやり取りが、この映画の中で3回以上出てきます。
(僕が覚えているのが3回ですが、4回だったかもしれません)
ドノヴァンとアベルが出会った獄中での場面、裁判での場面、交換の場面、
とにかく繰り返し交わされるやり取りなので印象に残った方も多いはず。
経済の混乱、それに伴う就職難、海外に目に向ければテロ事件。
現代はとても不安が多い世界です。
でも、アベルの生きた時代は米ソの冷戦時代。
現代よりも緊張した、冷たく暗い雰囲気のなかで生きていたのです。
「不安はないのか?」と問われたとき、
「役に立つか?」と飄々とした顔で答えるられる・・・
不安をねじ伏せて活路を見出す強さと姿勢を持っていたいものですね。
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