先週末に公開された映画『ダンケルク』観てきました。何ともリアルな臨場感のある戦争映画。常に体中に力が入っていた気がします。
というのも、ストーリーがないのは”抜け落ち”ではなく、絶対に制作側の”戦略”だと思うからです。
この映画のウリは、リアルな戦場を再現することにこだわっているところ。
もしストーリーを細かく設定してそれも表現しようとしていたら、「とにかくこの戦場から逃げ出したい」という主人公たちの姿や、そこに伴う恐怖感といったもののリアルさが薄まっていたと思うんですよね。
ストーリーがない分、僕たち観客の意識は戦場のリアルさに集中します。そして、逆にストーリーを探し出そうとします。
僕なんかは、今この時点で戦況はどうなっているの?主人公たちはどう行動すれば逃げ出せるんだ?などと常にビクビク考えていました。
そう、これってつまり、当時のダンケルクにいた兵士たちと同じ気持ちに近づいているってことだと思うのです。
まさしく戦場の最前線にいる兵士たちに、細かでタイムリーな戦況は入ってきません。常に自分で想像したり推測したりして、それが正しいのか、今取ろうとしている行動が正しいのか、そんな恐怖感があったに違いありません。
やっと逃げ出して駆逐艦に乗り込み、紅茶とジャム付きパンでほっとしている船室が、一発の魚雷で一瞬に水の底に変わってしまうシーンとか、もうめちゃくちゃ怖かったですね。ヘタしたらトラウマ級でした。僕ならぜったいあそこで溺れ死んでますよ。
それに、座礁した商船のなかで息をひそめるシーンも。なんでこんな船を撃ってくるんだよ!とあの何とも言えない絶妙な間隔で銃声が響き、舩に穴が開くのはとても怖かったです。
そういった感覚を、ストーリーを最小限にすることで再現する。そんな戦略が絶対にある。そう思わせてくれるくらいリアルさが描かれていた映画でした。常に手に力が入ってたもんなぁ(笑)
映画館を出たころにはなんか疲労感がありましたからね。きっとクリストファー・ノーラン監督をはじめとした制作側は「計算通り…!」と思っていることでしょう。
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コメント
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